新店舗開業への道017-崖っぷちから大逆転05・決算書

サンシンさんへの融資仮申請時の話です。

決算書のコピーを提出した際に
「利益だけを見られちゃうと困るんです。本来なら事細かに説明したいんです。」
と私が言ったところ、担当者3名がこくりとうなずいて
「経営者の思いは決算書を見れば分かりますから安心してください」
と言って下さいました。

プレゼンでもなく、思いの丈を伝える文章でもなく。
数字の羅列からそれらの思いを読み取る事が出来る人たちがいるんだなあ。
とある種の感動に包まれた事を思い出します。

そう言われて見て改めて「当然」な事と気が付きました。

人件費や福利厚生に重きを置いてる。
設備投資に重きを置いてる。
私欲に重きを置いてる。
税金対策に躍起になってる。

確かにそれらは決算書より読み取る事が可能でしょう。

むしろ、口でどんなに、あうだこうだ言っても決算書はごまかしがききません。

そうやって私どもの決算書を読んでみると
確かにここ数年わたしが重きを置いてた部分が
明確に浮かび上がってきます。

読める人が読めば
「設備投資に重きを置いて成長を欲している。」
事がはっきりと読み取れます。

※なぜ設備投資に重きを置いたのかは「こちら

予算の1.5倍の売り上げのある事業の話で単純に説明してみます。

1000万円の予算があって、1500万円の売上げが出て、
100万円の利益を「飲むや食う」に費やし残り400万円を設備や人件費などに投資すれば、
その次の年からは、1400万円の予算があって、2100万円の売上げが出ます。

またさらに、100万円の利益を「飲むや食う」に費やし
その次の年からは、2000万円の予算があって、3000万円の売上げが出ます。

ところが、1000万円の予算があって、1500万円の売上げが出ても、
500万円の利益を「飲むや食う」に費やせば、その次の年にも同じ結果がまってます。

これらは実際決算書から読み取る事が可能なものです。

キンユウコウコのオネエサンにプレゼンする時も「投資」の事を
「意思を持って行ってます」と明確に伝えましたし決算書がその思いを証明してることが大切です。

事業ですから利益を出す事は当然にしても。
その先にある「投資する」「成長する」は別問題です
「その為には節制する」事を覚悟を持って行わねばなりません。


・プロの厳しい目でしっかりと見てくださったコウコのオネエサンです。彼女の目が厳しかったおかげで融資が通ったのです。※写真掲載本人了承済み
コウコノオネエサン

・融資が通った記念にお腹の大きい妻と家族3人の記念写真
ガッツポーズ

別荘保養地という伊豆高原の土地がら、誘惑は多いです。

なんらかで成功し引退されてきた方らの悠々ライフなお店。
うん十年サラリーマンを勤め上げ予てからの夢をかなえた的なお店。
資産家ご子息ご令嬢のお店。
派手に起業して派手に散ってゆく人たち。

なんらかの不労所得があり、そもそも働かずとも食べてゆけるが
面と向かって「不労所得者です」と言う人はまず居ませんし
世間様の手前、働いてないのはまずいのです。

脱サラして成功すれば浮かれる事もあるでしょうけど
とたんに高級車を乗り回し始めたりすると落とし穴が待ってます。

これらの「利益度外視」パターンと「起業初心者」がとても多いので
その実情を知らない人達は、「伊豆高原=スローライフ」と勘違いをされます。

この方達の在り方に憧れて伊豆高原で商売を悠々やろうとすると3年と持たないでしょう。
わたし等は店舗運営のプロですから、それらのお店を門構えを見ただけで見抜けますが。
店舗運営を行ってる人ですらわからないと言うほうが多いのが実情です。

決算書から思いを読み取ると同様、門構え(店舗ファサード)から思いを読み取る。

実際それらは可能なのです。

伊豆高原で人気の業態「ペンション」で考えてみましょう。

ペンションというのは一般的に回転率20%あれば優秀とされてます。
逆の言い方をすると30%無ければ失速して尻すぼみに陥る可能性が高いのです。

これプラス

客室とベッド数
客単価

この情報だけで売り上げが推し量れてしまいますし。
売り上げから利益を推し量るのも簡単な事ですし。
ベンチマークし続ければ再投資してるかも見抜けます。

席数に見合った客単価や駐車場数
家賃に見合った客単価の設定。
原価率と品物のバランス

これらの要素が、抜群のバランスの上で成り立っていないと
結果を出してゆく事は不可能です。シビアです。
どれか一つでもバランスが悪いと3年と持たないし。
素人だと見抜けてしまいます。

飲食業でも同様です。

逆を言えば、これらの要素が破綻してるのに存在し続けられるお店と言うのが存在し、
それらの人たちのライフスタイルに憧れたり、歩調を合わせてると、とんでもない間違いをおかすわけです。
これは、飲食業、宿泊業、体験工房などの業態に関係なくです。

お店を出す事は簡単なんです。
貯金をはたいて借金すればお店はもてます。
利益をしっかりと上げて3年後に残ってる事が難しいのです。
これらは、私が若い頃に躍起になってた音楽の世界でも同様でした。

わたし等の頃は空前のバンドブームといわれ、東京には5万人のバンドマンが存在し
5千バンド存在し、その中でメジャーデビューできるバンドは年間500バンド、1年後に残ってるのが5バンドと言われてました。

折角メジャーデビューできても
3年後、10年後に残ってる事が大変なんです。

「新しい」を打ち出してもその瞬間から古くなり
トレンドにのっかっても5年後には確実にずれます。

今出てる利益を未来にまわして平均化してゆく事を常に意識する。
一言で言えば常に未来に「投資」し、さらに留まらずに「再投資」せねば
20年後に生き残ってる事は不可能でしょう。
逆の言い方をすれば、ペンションでも体験工房でも飲食でも

「20年30年続いてるのは凄い人たち」なんです。

その人達からしたら2~3年やってチョイと成功したから何なの?
と言う事にもなるでしょう。

もちろんその方たちだって常勝、常に勝ち続けてるわけではありません。
※事実私も失敗だらけです。

いやむしろ、顔向けできないような恥ずかしい失敗を人一倍経験してきているはずです。
それでも生き残って来た事実が見逃せないんです。

経営でもBAND活動でも原理原則が存在し、それらの力を無視できるのは、ほんの一握りの人達だけです。
他人様はともかく自分自身がその「ほんの一握りの人間」なのか、よくよく考えないといけません。
「地に足の着いてない夢見がちなボウヤ」と笑われるだけで済めばよいのですが
たいていが、「うん十年溜め込んだ資金を頭金にして借金」「脱サラするこの日を20年間夢見ていた」などが現実です。

経営の本を何十冊と読み、叶えたい業態で修行をし、目的とする出店地域を綿密にリサーチする。
これらは特別な事ではなく当然の事ですし。

こういうことを常々考えてる者達が相手(ライバル店)だと考えねばなりませんし
それ以上に厳しい眼を持ってるのがお客さんだと言う事と、
最後には自分との戦いなのだとしっかりと自覚せねばなりません。

そしてこれらを一つ一つ丁寧に積み上げて一つの事業が成り立ちますし。
その軌跡は「決算書」と言う形で現されます。

融資の際の面接や店舗視察でも、言動や経営計画書のそこかしこに
これらの現実感を伴っているかは常に見られているのです。

日本全国数多の取引先をもつ日本政策金融公庫。
いったい彼ら(彼女ら)は年間に幾つの取引先決算書を見るのでしょうか。
あらゆる業態の決算書を目にし、倒産するパターン、業績回復するパターン、急成長するパターンと、
蓄積され分類された情報量は日本一と言っても過言ではありません。
しかも日本は世界でも3本の指に入る経済の大国なのです。

「決算書」を見る眼も相当に洗練されていると考えるべきです。

実際コウコのオネエサンにこう言われたことで身震いしました。

「御社の業績は公庫取引先数十万社のうちでも上位数パーセントの特Aクラスの財務状況です」

嬉しくなると共に、そこはかとない恐怖に襲われました。
その言葉の先にある膨大なデーターと無視できない原理原則。
誰もが少しは持っている「特別感」などまったく通用しないであろう動かしがた現実。
一時だけ結果を出す事は出来ても、その結果をもってその後の担保となりえない現実。
彼ら彼女らにゆだねられた裁量権の大きさと責任。

彼女はこうも言いました「私が融資決定した会社でその後倒産した会社は0です♪」

決算書を見て融資決定を行うと言う意味がこの一言に重く込められてる気がします。

そもそも「業績の良いときにお金は借りる物であって
悪いときに借りるのは駄目なのよ。」言葉の裏を返せばこういう事になるはずなのです。

上手く言えないのですが・・・一歩踏み違うと死神に鎌で首を刈られそうな感覚。

彼ら彼女らはその修羅場を目の当たりにし、目の前の現実として受け止め
日々それら厳しい現実と向かい合って生きているのだなと。

そして、自覚していようとしてまいと
私等も同様の世界に主体的に身をおいてると言う現実。

どこかただっぴろい砂漠に身を置いてサバイバルできるか自分を試したいだとか。
目をつむって綱渡りをして成功すれば神に愛されてるなどと考えずとも。
生きているだけで常日頃から十二分にサバイバルに身をさらしてる。
であれば、現実を直視し常日頃から「リアリスト」であることに
異存すら挟めないのだなと。

全ての結果に自身の責任がついてまわり。
他人様のせいにしている余裕などあったら
反省の一つでもしてたほうが楽だと思えたらやっと半人前。

今この目の前の生活をしっかりと目を見開いて
一歩ずつ歩まねばいけない、それら現実の全てが現われる人生の通信簿。

それが事業主にとっての「決算書」なのでしょう。

誘惑も多いと書きましたけど、凄い人たちも確実に存在してますから
伊豆高原に限らずその方達の知見に触れるのは心強い限りです。